光文社文庫:初版 2014年~2015年
オリジナルの短編「真朱の街」の初出は 2008年
『妖怪探偵・百目』(1) 朱塗の街(光文社文庫)
『妖怪探偵・百目』(2) 廃墟を満たす禍(光文社文庫)
『妖怪探偵・百目』(3) 百鬼の楽師(光文社文庫)
『魚舟・獣舟』に収録の短篇「真朱の街」がシリーズ化されたもの。タイトルに “探偵”とあるが、ミステリ小説ではなく、妖怪SFファンタジー。第一巻は読み切りの連作、第二巻・第三巻は連続する長編。
【第一巻】
絶世の美女にして全身に百の眼を持つ妖怪・百目。彼女の探偵事務所は、妖怪と人間が共存する〈真朱の街〉にある。請け負う事件は、すべて妖怪がらみ。依頼人は、報酬を自分の寿命で払うのが決まりだ。助手の相良邦雄は、時々百目に寿命を吸われつつ、事件解決にこき使われる日々を送るのだが……。数多のもののけたちが跳梁跋扈する、妖怪SFファンタジー。
【第二巻】
牛鬼と死闘を演じ、かまいたちの風鎌を土に還した男。拝み屋・播磨遼太郎は、真朱の街の妖怪たちにとって最も警戒すべき敵だ。百目と助手の邦雄は、その謎に包まれた過去を探ってゆくのだが……。一方、県警妖怪対策課の忌島は、播磨から想像を絶する話を明かされる。人間のみでなく妖怪をも食う恐るべき妖怪〈濁〉を倒すための計画とは?
【第三巻】
いまや真朱の街は、妖怪〈濁〉が持つ無数の腕によって完全に包囲されていた。人々の憎悪を糧に強大化し続ける〈濁〉。県警の忌島らの奮闘もむなしく、力の弱い妖怪や人間たちが次々とその餌食にされていった。拝み屋・播磨遼太郎と百目ら妖怪たちは、ついに手を結び、最強最悪の敵に立ち向かってゆく。凄絶な最終決戦の結末は――。シリーズ完結編。