本日発売の日経新聞・朝刊に、第8回日経「星新一賞」受賞関係の記事が掲載され(たはず)、審査員としての私の仕事はすべて終わりました。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。
コロナ禍の影響で、第8回日経「星新一賞」は、スタートの時点から、前年までとは違う始まり方となりました。例年通りなら、最初に審査員同士の挨拶を兼ねてキックオフ・イベントが開催されるのですが、まず、これが中止となってしまいました。これは、大変残念なことでした。他の審査員が、どのような分野に強く、どのようなフィクションに触れておられるのか、あらかじめ、じっくりと、うかがうことができる、大変貴重な機会だったからです。
原稿の応募が始まるまでのイベントも、昨年は、小規模な形でしか行っていないと思います。私のところへも、開催前の関連インタビュー等は一切ありませんでした。
応募自体はネット経由なので、これはいつも通り。
最終審査はリモートで行われました。毎年、3部門の選考をすべて一日で終えるのですが、大変な労力と集中力を求められる作業です。前にも書きましたが、ここへ至るまでに、既に、応募原稿を何度も何度も、前日まで繰り返し読み直し、プリントアウトしたものを赤ペンで緻密にチェックしていたのですが、当日までどれが受賞するかはわかりませんでした。
表彰式も関係者がリモートで集合して、各場面を録画し、あとで編集してもらう形に。このような形は初めての体験でした。
表彰式もリモートになってしまったのは、コロナ禍での安全対策の面から考えると当然の形ではあったのですが、それでも、受賞者だけでなく、審査員としての立場からも――これは、かなり口惜しいことでした。既に配信されている受賞作の電子書籍には、審査員による受賞作への選評が掲載されておりますが、これは、100文字以内という制限内で書いたものです。リモート表彰式でのコメントは役割分担がなされていましたので、自分がコメントを求められなかった部門の受賞者に、声をかける機会はありませんでした。
これが、とても心残りだったのです。
星新一賞に応募してくる方の中には(特に、一般部門の応募者の中には)プロ作家を目指している方がいますし、他の新人賞で既に最終選考まで残った方もおられましたので、そういう方には、個別に、もっと詳しい講評をお伝えしたかったのですが――まあ、このような年もある、ということですね。
星新一賞は、毎年、審査員が総入れ替えとなります。コンテストとしては、大変、よい体制です。
今年受賞しなかった方・受賞したけれども目指していたポジションを逃したという方でも、次回以降、望むポジションを得られる方がおられるでしょう。気力のある方は、次回、またご応募を。受賞するときには、あっけないほど簡単に受賞するものです。