報告(04) SFへの入り口

タイトルが長いので、今回から「報告+数字」に変えます。

SF作品が好きな方にとって、はじめてSFを知った分野はなんでしょうか。最近だとアニメ・漫画・ゲームが主流でしょうか。ストレートに小説からSFに入る方は、いまでもいらっしゃるでしょうか。最初の出会いは何才頃でしたか。私自身は最初から多様なメディアでSFに触れることができた世代で、年齢的には10歳前後にそれが集中しています。

私の子供時代(1960年代後半~1970年代前半)には、既に、簡単にSF作品に触れられる環境ができあがっていて、SFという名称を知らないまま娯楽系のSFに接し、ああ、面白かったと素直に喜べる時代が到来しておりました。TVの洋画劇場にチャンネルを合わせれば海外のSF映画を観られる、国産のTV番組としてはSF系の実写ドラマや特撮作品やアニメーション(当時は「TVまんが」と呼ばれていました)がたくさん放映され、学習誌には子供向けにリライトされた海外SF小説が載り、国内第一世代SF作家の短編SF小説が載っている。漫画雑誌を開けば、既に、少女誌であってもSF作品が載っていた。そういう、しあわせな状況ができあがっていました。メディアとしては、ゲーム以外はほとんど出揃っていた感じですね。(私が、現行のスタイルのゲーム作品と接するようになったのは、大人になってからです)

子供の頃にどんな作品が好きだったか、ということについては、過去に、エッセイなどで何度か触れています。イベントでも少し言及しました。詳しく語ると長くなるので今日は省きますが、この時代の経験で、職業作家を目指すときに役に立ったと思えるのは、フィクションとノンフィクションを均等に読んでいたことですね。ノンフィクションの読み方がわかっていると、小説執筆用の資料探しや、その読解で苦労せずに済みますので。

私は、フィクション以外に、自然科学系のノンフィクションが子供の頃から大好きで、特に、研究者の伝記や記録を読むのが好きでした。国内・海外を問わず、科学者の話はどれも本当に面白かったですね。その他では、生物の記録を読むのが好きで、学習研究社(学研)から出版されていた「動物の記録」シリーズという叢書が当時ありまして、これに夢中になって、学校の図書館で何度も同じ本を読み返したりしていました。この叢書は、子供の頃に理科が好きだったという同世代の方に訊くと、みんな、読んだ読んだと言って懐かしがる本なのですが、残念ながらいまは絶版です。大人になってから、どうしても、もう一度読み直したくなって、シリーズの中で好きだった何冊かを購入しました。下記はその私物からの画像です。サムネイルをクリックして頂くと、大きな画像が表示されます。既刊リストを見て頂くと、錦三郎のクモの研究記録なども収録されているのがわかります。

動物の記録

この時代のSF作品には、SFとホラーとファンタジーが渾然一体となった、不思議なイメージに満ちたものが多かったですね。大人のドラマとしての色合いが(濃度の差はありますが)含まれているのも特徴です。そういう豊穣なイメージに溢れた世界がいまでも好きで、いまは、もうそういうものはSFと呼ばれないのかもしれないけれど、小説界全体として見れば、現代でも必要な作風だと思っています。